第13回大会を成功裏に終えて

奥野英子 (日本リハビリテーション連携科学学会理事長)

画像 奥野理事長
奥野理事長(第13回大会会場にて)
1999年3月に創設された日本リハビリテーション連携科学学会は、13年目を迎えました。そして、2012年3月24日、25日に山形県において第13回大会が開催され、内容の濃い、名実ともに素晴らしい大会となりました。

第13回大会は山形大学医学部整形外科学講座主任教授の高木理彰大会長のもとで、山形大学医学部整形外科学講座、山形大学医学部付属病院リハビリテーション部、山形県立保健医療大学保健医療学部の協力によって開催されました。大会のテーマは「あらためて問う、連携の意義 -困難を乗り越えて-」と設定し、1年前の3月11日に東北を襲った激甚大災害とリハビリテーション支援に焦点を当てた大会となりました。

1年前の3月11日は、第12回大会の前日であり、理事会を滋賀県大津市で開催していました。その日に未曾有の大災害が起きたのでした。このような予想もできなかった悲しい事態のなかで大会テーマを変更し、第13回大会が開催されたのでした。  大会プログラムは「災害とリハビリテーション」に関わる1年間にわたる支援活動の内容を目の当たりにできる講演、シンポジウムが目白押しであり、大震災に伴うリハビリテーション支援活動について、全国から参集した400名を超す参加者は多くのことを学ぶことができました。

プログラムの内容を具体的に挙げますと、高木大会長による基調講演は「地震大津波と廃用症候群 -被災地支援から学んだこと-」と題し、広域に及ぶ複合型激甚災害の恐ろしい実態と、長期化した避難所生活による生活不活発病、廃用症候群の発生に対して山形から行ったリハビリテーション支援活動が詳しく発表されました。

特別講演は気仙沼市立病院の成田徳雄脳神経外科部長による「東日本大震災 -有事の医療福祉対応-」で、高齢化が進んだ宮城県の気仙沼において、慢性疾患への対応、感染症対策や栄養を含めた環境整備や在宅療養支援の必要性が認識され、3月15日には巡回療養支援隊が発足し、支援活動が行われてきたとの発表でした。地域保健福祉行政と災害医療本部との連携がなく、非効率的・非機能的な体制であったが、成田先生自身が災害医療コーディネーターとしてその調整に当たられたようでした。

教育講演は、長崎リハビリテーション病院理事長の栗原正紀先生による「災害時のリハビリテーション -連携と今後の展望-」で、医療や介護サービスが比較的乏しく、高齢化率が非常に高い地域に起きた大災害であり、生活そのものが大きな課題となり、「生活を視野に入れた唯一の医療であるリハビリテーション」の重要性が指摘されました。
さらに、大会企画シンポジウム「東日本大震災 -リハビリテーションの連携と課題-」が行われ、5名のシンポジストから、
①山形県行政の立場から実施したこと
②国立国際医療研究センターから国際医療協力の経験を生かしての避難所の巡回診療の状況
③被災者の心のケアの活動状況
④気仙沼市における緊急リハビリ支援の状況
⑤阪神淡路大震災などにおける支援活動の経験を生かして長崎から駆けつけた支援の状況などが、実践活動に裏打ちされた迫力あるご発表を戴きました。

今回の東日本大震災では、様々な職能団体や様々な機関によって支援活動が展開されましたが、特に、大震災後すぐに結成された「東日本大震災リハビリテーション支援関連10団体」の支援も受け、様々な機関や様々な専門職による連携により、災害支援活動が行われたことを手に取るように学ぶことができました。

災害支援のために集まったチーム活動は最初からスムーズに進んだわけではなく、様々な課題にも直面されたようですが、その中で、連携活動を行うための具体的な知恵も披露されました。印象的だったことは、「にわかに集まった方々はなかなかうち解けず、意見の食い違いも出て、必ずしも良い雰囲気ではなかったが、毎日、活動が終わったときに必ず集合写真を撮ることにより、写真では皆様笑顔になるので、その写真をすぐに添付送信することにより、次第に皆様がうち解けるようになり、良い雰囲気の中で活動できるようになった」という微笑ましいエピソードでした。連携も、ちょっとした知恵によって実現することを実感しました。

2日目のランチョンセミナーは、高次脳機能障害児のリハビリテーションに先駆的に取り組んでおられる神奈川県総合リハビリテーションセンターの栗原なま小児科部長から「小児リハビリテーションにおける連携」の講義があり、同センター内ではチームミーティングやクリニカルパスを通しての連携、また、家族や地域との連携の重要性が事例を挙げて分かりやすく講義されました。

さらにフィンランドからはるばると来日して下さったヘルシンキ大学のニーナ・サンタヴィルタ教授からは「フィンランドにおけるヘルスケア、リハビリテーション、市民の安全」のテーマにより、高齢者や障害者の医療・保健・福祉の制度、医学リハビリテーション、職業リハビリテーション、社会リハビリテーションのサービス、さらには災害時への緊急対応などについて、フィンランドの美しい風景もあり、盛りだくさんの発表をして頂きました。最後に、フィンランドの講演を基にして、シンポジウム「障害者・障害児のリハビリテーション」も行われました。

以上のような素晴らしい内容の他、参加者が一堂に会して「連携」について議論をする口述発表13題と、ポスター発表46題の研究発表がありましたが、それぞれ、連携に関わる素晴らしい研究発表であり、2日間に亘り、朝から晩まで休憩時間もほとんどない中で、この大会は沢山の学びと研鑽の場となりました。大災害時におけるリハビリテーション支援においては、いかに連携が重要であるか、また平常時から地域リハビリテーション体制が整っているところでは、災害時にもそれが生きるということが明らかにされました。

これらの内容の詳細については、本学会の会報「連携通信」、研究誌「リハビリテーション連携科学」に掲載されますので、是非、それらをお読み頂きたく思います。

最後に、第13回大会をこのように充実した大会に導いて下さいました高木理彰大会長、朝倉次男実行委員長、実行委員の皆様、関係各位に、心から御礼を申しあげます。

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