事業内容

教育支援研究会・平成23年度第1回公開研修会報告

日本リハビリテーション連携科学学会教育支援研究会では、「小・中学校におけるコーディネーターの実践」というテーマで、8月13日(土)に、第1回公開研修会を行った。報告者は、小学校や中学校で日々コーディネーターの実践活動を行っている2名の教師であり、報告を受けて活発な意見交換・ディスカッションが行われた。以下にその概要を報告する。

開催要項

日時

平成23年8月13日(土)14:30~17:00

場所

筑波大学附属桐が丘特別支援学校・施設併設学級1階会議室
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-1-10

主催

リハビリテーション連携科学学会教育支援研究会

時程

14:30 開会あいさつ 香川邦生(元筑波大学教授)
14:40 開催の趣旨説明 大内進(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所統括主任研究員)
14:50 実践報告 テーマ「通常学級のコーディネーターの実践」
    ①小学校の実践 古山早苗(練馬区立光が丘四季の香小学校教諭)
    ②中学校の実践 若松由美子(中野区立第十中学校教諭)
15:50 休憩  
16:00 協議  
17:00 閉会あいさつ 香川邦生

研修会報告

実践報告概要

1)小学校における実践  古山早苗先生(練馬区立光が丘四季の香小学校)
  • ①コーディネーターの役割
  • ②実際の活動
  • ③コーディネーターとして心掛けていること
  • ④特別支援学級の先生方に日々教えられていること
  • ⑤今後の課題(困っていること)
    の五つの観点からの報告であった。以下に印象深かった点を幾つか紹介する。

在籍児童は550名で、特別支援学級(情緒・通級)がある。コーディネーターの役割を養護教諭1名で担っているが、本来の業務を行いながらの兼務であり全校児童数も多いので負担は大きい。また、学級担任は自分の学級の問題を抱え込んで独りで解決したいという意識の教師もいるし、経験の浅い若い教師は特別支援教育に関する認識も不十分なので、教師に対する支援も大切な任務となっている。しかしながら、関係教員間の情報共有のための会議の時間が定期的に取れている点は恵まれていると感じている。

コーディネーターの役割としては、情報収集に基づく日々の連絡・調整が大切だと考えている。特に児童の学習支援等については、ふれあい相談員や生活支援員等が入れ替わりで関わる場合が多いので、支援にブレがないように調整している。 日々心がけていることは、まず自分の心理状態を安定させることである。コーディネーターは人の話を聞き、情報を集めることが最も大切だと感じているが、心理状態が不安定なときはそれが難しくなるからである。遅い時間まで様々な業務に追われることも多いが、そんな中でも気持ちに余裕をもって、誰からででも相談を受けやすい雰囲気作りに心掛けている。

養護教諭としての弱点は、教科指導に関するノウハウの持ち合わせがないという点であるが、その場合は特別支援学級の担当教師に相談することにしている。特別支援学級の教師は、考え方がリベラルで子どもを中心に考える広い視点をもっていると感心させられることが多い。課題としては、指導計画や支援計画の活かし方である。東京都の書式を使っているが使いづらい。また、記録もデータでは残しておけない状況があるので、この点を今後改善していきたい。

2)中学校における実践  若松由美子先生(中野区立第十中学校)  
  • ①学校の状況
  • ②校内委員会について
  • ③成果と課題
    の3つの観点からの報告であった。以下に印象深かった点を幾つか紹介する。

生徒数160名、各学年2学級、教員数17名の比較的小規模な学校である。教科は家庭科であるが、管理職からコーディネーターの指名があったので引き受けた。現在、支援が必要だと感じている生徒は30名ほどである。支援の中心は教科の時間であるが、この支援には、学習指導補助員2名、大学院生1名、スクールカウンセラー1名(相談が入っていない場合)等が当たっている。

昨年までの校内委員会は、管理職・各学年主任・コーディネーター・養護教諭で構成されていたが、毎月放課後に設定したり「生活指導部会」の時間の一部に割り込んだりしていたため、他のことが優先されて十分に機能しなかった。そこで今年度からは、校内委員会を毎週木曜日の1校時に設定し、特別支援教育に特化した情報交換を行うこととした。こうした対応により、それぞれの生徒の課題が詳細に把握できるようになり、安定した支援体制と学習環境の維持に繋がっている。校内委員会のメンバーに、生活指導主任、スクールカウンセラー、心の教室相談員(区巡回相談員)にも加わってもらったが、この点も支援の充実に貢献していると思われる。

情報交換・ディスカッションの概要

1) 個別の教育支援計画及び個別の指導計画の活用や記録の保存方法について

個人情報保護等との関係で、難しい問題もあるが、支援計画や指導計画は、蓄積して引き継いでいくことが大切なので、どのような書式にしろ、一人一人の個別ファイルを作成して引き継いでいくことを大切にしなければならない(保護者の了解は必須)。特に、幼稚園から小学校へ、小学校から中学校へ等の引き継ぎは、このファイルの活用が大切である。

2)小・中学校の立場から特別支援学校に期待することについて

初期の段階では、何も分からないので、何とか助けて欲しいという状況であろうが、長期的な関係を維持していくためにはどのような支援が望ましいかを見極めていかねばならない。コンサルテーション的な支援や具体的教育技術の支援(技術移転)等が中心になるが、どのような場合も特別支援学校の教師と小・中学校の教師とが対等な立場で接し、情報交換することが大切だと思われる。

3)次期コーディネーターへの引き継ぎについて

小・中学校では、コーディネーター一人という体制の学校が多いが、複数体制にしてうまく引き継いでいけるようにすることが今後求められる。また、学校の規模によってコーディネーターの適正人数も決まるように思われるので、今後の研究課題にしなければならない。


北特別支援学校:後藤貴久

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