日本リハビリテーション連携科学学会について

歴代理事長

澤村誠志
澤村 誠志(第2代理事長)
私たちは、リハビリテーションを障害があっても再びその人らしく生き生きとした生活をおくれる権利を回復する「全人間的復権」と捉え、その最終目的は、年齢・性別や障害の種類の壁を超えて、誰もが安心して、心豊かに人間としての尊厳を守り、住み慣れた地域に生き生きと住み続けることができるユニバーサル社会の創造にあるとしています。したがって、そのリハのゴールを達成するためには、多くの異なるニーズを持つ利用者の立場に立って多面的なリハサービスが展開されることが必要です。具体的には、リハ医療だけではなく、特別支援教育(教育リハ)、自立に向かっての社会生活力の獲得(社会リハ)、職業能力の獲得による社会参加(職業的リハ)、住宅改修・福祉用具、リハ工学(テクノエイド)、住宅、福祉のまちづくり(ユニバーサル居住環境)、障害のある人を社会の一員として受け入れ支えるインクルーシブ社会の創造など、リハに関係するあらゆる部門の連携・協働が必要です。しかし、我が国における地域における生活の現実を見たときに、各分野のリハビリテーションの関連専門職の教育や、実際の地域におけるリハビリテーションサービスが、年齢や障害の種別などによって縦割り行政下で分かれており、総合的、包括的なリハビリテーションサービスの展開に大きな支障となっていることが少なくありません。抜本的な行政改革がすぐに望めない現在では、各分野のリハビリテーションサービスが、利用者の地域の生活の場に立っていかに効率的に連携していくかが成功の鍵を握っています。

そこで、日本リハビリテーシヨン連携科学学会は、リハビリテーシヨン諸科学の有機的な連携、ネットワーク、総合的なリハビリテーションを実現するために現場の実践に即した研究と実践を重視した研究交流の場を提供することを目的に、1999年に設立されました。

本学会の活動を支えるために、研究推進委員会,研究誌編集委員会,会報編集委員会,情報ネットワーク委員会、連携プロジェクト委員会、自主的な研究会等が設置され、活発な活動と連携推進に大きな役割を果たしております。毎年3月の学術研究会を開催するとともに、学会研究誌「リハビリテーション連携科学」、会報「連携通信」を発行するとともに、テーマ別の社会リハ、ケアマネジメント、教育支援、保健医療福祉連携教育などの自主研究会を行い、研究交流の場や研究成果を生かす機会を提供しております。また、平成21年3月には本年は、学会創設10周年を記念して、第10回大会を国立障害者リハビリテーションセンター(会長岩谷力)で開催させていただき、また利用者やその家族の立場に立ち、各分野間、各種専門職間、関係機関間の連携を確立・促進する視点から、リハビリテーション連携に関する理論と実践をまとめた「リハビリテーション連携論」を出版させていただきました。

障害のある人びとの立場にとって、私どもリハビリテーシヨン各分野に置ける関係職種が素晴らしいテイームアプローチのなかで活動することが大切です。他の分野の人びととの交流を進めるために、日本リハビリテーション連携科学学会に参加されませんか。

関連情報